逆境も時には転機になりうる「災害のユートピア」|民俗学への招待の感想

読書感想文
Sasin TipchaiによるPixabayからの画像

こんにちは!澤田(@bonbonbondo)です 。

海外に出てから、日本を客観的に見る機会が増えたように思います。特に旅をしながら色々な国を見ていると、気候や文化、社会システムなど、「国」という単位で日本を客観的にみるための比較対象が増えていきます。

そこでいつも思うのは、「日本は本当に自然災害が多い国だな」ということです。

今回ご紹介するのは、我々日本人の文化風習について、民俗学の視点から解剖し、それをわかりやすくまとめてくれている「民俗学への招待」です。(↓画像はAmazonリンク)

本書の中で、以下のフレーズが印象的でした。

それ と 同じ 場面 が、 安政 大地震 の 際 の 唯一 の 情報源 で あっ た 例 の 鯰絵 に 書き こま れ た 詞書 の 中 からも うかがえる ので ある。 たとえば 鯰 と 職人 たち が 酒 を くみかわし て いる 絵 が ある。 職人 たち が 口 ぐち に、 鯰 さん の お蔭 で、 今度 は 金儲け が でき た。 面白い ほど 金 が 入っ て くる から、 たんと ご馳走 し なく ては、 と 言う。


宮田登. 民俗学への招待 (ちくま新書) (Kindle の位置No.935-938).  . Kindle 版.

本書では、この現象を「災害のユートピア」という言葉で表現しており、古代から日本では災害が多く、その災害に対してポジティブに考える人々の様子をうかがうことができます。

もちろんですが、自然災害によって大切な家族や友人がなくなり悲しい思いをしている人も多いです。地震等で怖い思いをし、人生のトラウマを抱えている方もいると思います。

僕は先述のフレーズより、日本人がいかに自然災害と共存をし、半ば災害を停めることをあきらめながらも、強く生きてきたのだなと感じました。そして人は困難な状況に追い込まれるほど、その絆も強固なものになるのかと思います。

かれこれ9か月ほどラテンアメリカ諸国を旅していますが、これまでキューバとベネズエラが、最も人々が支えあい、人と人とのつながりを大切にしているように感じました。

上記2か国は、米国からの経済制裁等で、経済をはじめとした国の状態が、非常にチャレンジングな状態にあります。そして政府からの制限なども多く、多くの国民が限られた資源の中で生活をしています。

こういったチャレンジングな状況に陥っているからこそ、隣人と支えあい、よりよい生活を目指しているのかもしれません。「吊り橋効果」とはよく言ったものですが、こんなチャレンジングな状況だからこそ、深い絆が生まれるのかと思います。

またチャレンジングな状況を乗り越えた時、新しい世界が見えてくると思います。

Ps.

また上記引用部分と同じく、絵巻の中の鰻と職人の会話の中の、職人の一言が興味深かったです。

自分 たち は お金 は ためる こと は し ない。 飲ん だり 仮宅 へも 出かけ て 遊ぶ から、 金 は 融通 し 合っ て 皆 でて いっ て しまう もの だ と 楽しん で いる。


宮田登. 民俗学への招待 (ちくま新書) (Kindle の位置No.939-941).  . Kindle 版.

ラテンアメリカ諸国では、「俺はお金を貯めない。今あるお金は、今使うものだと思っている」という人が多いように感じます。

実際に、2019年9~10月まで、ベネズエラのメリダで共同生活をしていたベネズエラ人女性も、「私は小さいころから、今あるお金は今使うように親から習ってきた。貯めるなんて考えられない。」と話していました。

バブル経済崩壊後、日本人は貯金に対して非常にシビアになったとどこかで聞いたことがあります。実際に、僕の周りの日本人の友人も、しっかりと貯金をしている人が多いように感じます。

本書上記フレーズでは、どこかラテンアメリカの雰囲気を、我々の祖先から感じました。本来は我々日本人も、DNAの中に「今あるお金は今すぐ使え!」と刻みこまれているのかもしれません。

なので、「貯金をしなくては!」と焦ってストレスをためている方、我々の先祖の様にパーーーーっとお金を使い、ストレスを発散するのもいいと思います。

将来のことを考えるのもいいですが、僕たちはいつ死ぬか分かりません。いつ何時死んでも、素晴らしい人生だったと思えるように、今を楽しみましょう!

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